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どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編) - 朝日新聞デジタル

新年にふさわしく、2回にわたって景気のいい名物をご紹介します。キーワードは“静岡の全国ナンバーワン”。静岡県や静岡市が、調査で全国1位を獲得している産業五つについて、旅として楽しめるスポットや味をご案内します。1回目のテーマは「マグロ」と「缶詰」。昨年12月、清水港のベイエリアでこの二つをたっぷり楽しみました。

マグロの集積地・清水港でお得に買って、食べる「清水魚市場 河岸の市」

“静岡の全国ナンバーワン”の一つめはマグロです。静岡市の清水港は、「刺し身マグロ」として流通する冷凍マグロの水揚げ量が日本一(2019年、清水漁港振興会調べ)で、「全国一のマグロ集積地」と呼ばれています。そのマグロをおいしく、しかもリーズナブルに味わえるのが、JR清水駅近くの「清水魚市場 河岸(かし)の市」です。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

JR清水駅から徒歩4分とアクセスのよい「清水魚市場 河岸(かし)の市」

鮮魚や水産加工品を販売する「いちば館」と飲食店が集まった「まぐろ館」があります。「新鮮でおいしい魚をもっと気軽に食べてほしい」という思いをもった仲卸業者たちがつくった施設なので、魚の種類の豊富さと新鮮さ、そして安さに驚きます。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

安さに驚きます

盛って盛って盛りまくれ! 「魚市場食堂」の「まぐろいっぱい丼」

2階建ての「まぐろ館」には、14軒の店舗があり、マグロを中心に清水の魚介類が堪能できます。2階の「魚市場食堂」に名物メニューがあると聞いてやってきました。

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まぐろ館2階にある「魚市場食堂」

一番人気のメニューは「まぐろいっぱい丼」(税込み1000円・数量限定)。なんと、「ストップ!」というまで、店員さんがマグロの漬けを盛り続けてくれます。

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日によってメバチ、キハダ、ビンチョウなどのマグロが使われます

景気よくどんどん盛ってくれるので、マグロの漬けはいつしかタワーのような山盛りに。でも、マグロの味わいを生かしたあっさりとした味つけなので食べやすく、酢飯との相性も抜群。ネギやワサビの薬味もアクセントになって、ぺろりといただけました。希望によって白米に変更もできるそうです。

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マグロの漬けが崩れ落ちそう

それにしても、どんなに盛っても1000円という価格を実現している秘密はどこにあるのでしょう。店長の佐野さんによれば「市場の直営店ですので、材料となるマグロは何トン単位で一括購入し、中間業者も通しませんので材料費が抑えられます。量はもちろん、質にも自信があります」とのことでした。

本マグロでこの値段!? “清水に来たらこれ食べて”といわれる中トロ丼

「まぐろ館」1階にある「まぐろ王国 大ちゃん」にも驚きの名物があります。

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まぐろ館1階にある「まぐろ王国 大ちゃん」

それが「特上本まぐろ中トロ丼」(税抜き2296円・数量限定)。厚く切った本マグロの中トロが丼ぶりからはみ出すように並んでいます。その上に、イクラのしょうゆ漬けと、水揚げされた日は生シラスも無料でトッピング。マグロのあら汁と、静岡名物の黒はんぺんフライが付いて、さらにマグロカツとキャベツは食べ放題という大サービスのメニューです。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

「特上本まぐろ中トロ丼」は食べ放題のマグロカツなども付いています

中トロは、室温でもみるみる脂が溶けて、輝き始めます。舌にのせるとふわりととろけるよう。脂がのって甘いのですが、決してしつこくありません。すっと溶けてうまみが残ります。

元すし職人だったという代表の佐々木さんは「トロは、よく動く身の外側がうまみが濃くておいしいんです。その部位を選んで使っています」とのこと。

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中トロの脂が溶けてつやつやと輝きはじめます

「正直に言って『特上本まぐろ中トロ丼』は原価90%超えです。もうけより、清水で本当においしいマグロを食べていただきたいと思ってお出ししているメニューです」(佐々木さん)。売り切れていなければ、ぜひ味わいたい逸品です。

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サービス満点の店を運営する佐々木さん

おみやげや贈答用にも人気。100種類以上がそろう「清水かんづめ市場」

静岡の自慢の“全国ナンバーワン”の二つ目は缶詰です。静岡県は静岡市を中心に缶詰メーカーが数多く、特にマグロの缶詰は国内生産量の97%、カツオの缶詰は100%を誇っています(ともに2019年、公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会「缶詰時報」より)。清水港のベイエリアにある「エスパルスドリームプラザ」内には、静岡市の缶詰会社10社の製品100種類以上がそろう「清水かんづめ市場」があります。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

「清水かんづめ市場」

「エスパルスドリームプラザ」は、「ちびまる子ちゃんランド」や「清水すし横丁」、観覧車などがある複合商業施設ですが、1階の「清水かんづめ市場」も人気スペースの一つ。種類がとにかく豊富です。マグロの缶詰だけでも、ビンナガマグロのトロを使ったものや、キハダマグロのあぶりトロ、唐辛子入りやニンニク入り、オリーブオイル使用やノンオイルなどさまざまです。「ツナ缶」は静岡市清水区が発祥の地とのことで、その歴史も紹介されていました。

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マグロの缶詰だけでもさまざまな種類が。中トロを缶詰にしたものもあります

「釜揚げしらす」や「静岡おでん」、「清水もつカレー」などのご当地グルメや「やきとり」「タイカレー」など人気の缶詰もそろっています。コロナ禍でステイホームが続くとき、手軽に食べられる缶詰を常備しておくのもいいですね。

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ご当地グルメも缶詰に

缶詰のうんちくもいっぱい 「フェルケール博物館」内の「缶詰記念館」

「エスパルスドリームプラザ」の近くには船と港の博物館「フェルケール博物館」があり、「缶詰記念館」も併設されています。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

「フェルケール博物館」はレンガ造りのすてきな建物です

「フェルケール博物館」では、清水港を中心とした歴史や船、船舶関連品を紹介しています。港は、古くから人や物資が集まる経済や文化の交差点でした。ここでは、商業港、工業港、漁港と多面的に発展してきた清水港の歴史を通じて、日本の港湾文化が学べます。

「蘭(らん)字と茶箱」のコーナーでは、明治時代から昭和30年代まで、清水港から輸出した茶箱とそのラベルが紹介されています。ラベルには日本的なデザイン画とともに英語が書かれていて、“蘭字”とよばれました。そのデザインの美しさが目を引きます。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

初期のラベルは木版画だったそうです

このコーナーの近くのドアから外に出ると、「缶詰記念館」があります。レトロな建物は、日本で初めてマグロ油漬け缶詰(ツナ缶)製造を事業化し、アメリカに輸出した清水食品株式会社の創立当時の本社社屋を移転したものです。創業翌年の1930(昭和5)年には建っていた建物と伝えられます。大正ロマンの面影を残すモダンな洋風建築は、当時評判だったとか。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

「缶詰記念館」は静岡の缶詰産業のさきがけとなった貴重な建物(画像提供:フェルケール博物館)

館内では、清水食品株式会社を中心に、静岡市の缶詰の歴史や製造について、実物と模型を使って紹介しています。この会社はミカンの缶詰も製造し、夏はマグロ、冬はミカンと、年間操業を可能にしたことから、しだいに周辺に缶詰産業が広まっていったそうです。

館内はこぢんまりとしていますが、精巧な「缶詰製造レーンの模型」や、缶詰作りの道具など、めずらしい展示品が見られます。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

貴重な品が並んでいます

特に目を引くのは缶詰の美しいラベルです。当時人気だったという「GEISHA」ブランドをはじめ、「Kabuki」の文字や人力車の絵なども描かれています。昭和10年前後は輸出の急増でラベル印刷が間に合わず、港の倉庫内でラベル貼りに追われたそうです。活気ある様子が思い浮かびました。

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

マグロの缶詰のアメリカ輸出向けの初めてのラベルも展示されています

どんぶりからあふれる本マグロ丼も 静岡が誇る“全国ナンバーワン”(前編)

ミカンの缶詰のラベルには「GEISHA」の文字が

【問い合わせ】
・清水魚市場 河岸の市
http://kashinoichi.com/

・魚市場食堂
http://kashinoichi.com/maguro02_content/page05/

・まぐろ王国 大ちゃん
http://kashinoichi.com/maguro01_content/page07/

・清水かんづめ市場
https://www.dream-plaza.co.jp/shop/detail.php/82

・フェルケール博物館
https://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/

・缶詰記念館
https://www.suzuyo.co.jp/suzuyo/verkehr/guide/canning_museum.html

・静岡市広報課シティプロモーション係
https://www.shizuokacity-cp.jp/

PROFILE

中元千恵子

旅とインタビューを主とするフリーライター。埼玉県秩父市生まれ。上智大卒。伝統工芸や伝統の食、町並みなど、風土が生んだ文化の取材を得意とする。また、著名人のインタビューも多数。『ニッポンの手仕事』『たてもの風土記』『伝える心息づく町』(共同通信社で連載)、『バリアフリーの温泉宿』(旅行読売・現在連載中)。伝統食の現地取材も多い。
全国各地のアンテナショップを紹介するサイト 風土47でも連載中

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